令和3年4月12日(月)建設業セミナー(建設業の立て直し)のアウトプット

行政書士の業務知識
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業務の知識を増やすため、令和3年4月12日(月)に日本行政書士会連合会とワイズ公共データシステム株式会社主催の建設業セミナーに参加しました。

用語

監理技術者(建設業法26条Ⅱ) →日本の建設業において現場の技術水準を確保すべく配置される技術者のこと。

施工計画の作成、工程管理、品質管理などの技術上の管理や、工事の施工に携わる者の指導や監督を職務とする。(建設業法26条の4)

監理技術者は一定の金額以上の大規模な工事現場に配置される。すなわち、特定建設業者が元請として外注総額4000万円(建築一式工事の場合は6000万円以上)の工事を発注者から直接請け負う場合、現場に配置しなければならない。

なお、4000万円という数字は、建設業法施行令2条に書いてある

元請であっても同4000万円未満の現場、下請工事などには主任技術者の配置で良い。

下請負人を適切に指導、監督するという総合的な役割を担うため、主任技術者に比べ、より厳しい資格や経験が求めらる。

・主任技術者(建設業法26条Ⅰ) →主任技術者は、元請、下請、請負金額の大小に関わらず、すべての工事現場に配置する義務がある技術者のこと。

主任技術者は規模が小さい工事現場に配置される。

工事現場に監理技術者を配置する場合、主任技術者を配置する必要はない。


・低入札価格調査基準 →入札価格があまりに安いと履行可能性について調査が入り、だめだと判断されれば失格。

・歩切り(ぶぎり)→適正な予算に基づく設計書金額の端数を切り捨てるなど、実際の施工に要する予定価格を発注者側が一方的に値下げをする行為のこと。

・法定福利費 →法律で義務付けられている企業が負担する社会保険料や労働保険料のこと。

・ダンピング受注 →市場価格よりも著しく低い価格で入札し契約締結をすること。

・担い手3法 →品確法、入契法、建設業法のこと。

・品確法 →公共工事の品質確保の促進に関する法律。

・入契法 →公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律。

・改正労働基準法(平成30年6月29日成立) →平成31年(2019)4月1日より施行。建設業は令和6年4月から適用開始。法律で残業時間の上限が定められた。違反企業や労務担当者には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金。

・入札不調 →入札に参加する事業者がいないために開札されない状態。

・入札不落 →複数の入札があったものの予定価格を上回っていて、落札者が決まらない状態。

・DX →デジタル・トランスフォーメーション。最新のデジタル技術を駆使した、デジタル化時代に対応するための企業変革のこと。

・及び、または →A及びB又はC とはA及びBとCが又でつながる。

・BPR →ビジネスプロセス・リエンジニアリング (Business Process Re-engineering)。企業活動や業務の流れを分析し、最適化すること。

・ワンスオンリー →一度提出した情報は、二度提出することを不要とすること。

第一部「建設産業立て直しの主な経緯と今後の展望」        

講師:国土交通省 土地建設産業局局長 青木由行様
講師は、ミスター司令塔、切れる高級官僚という印象の方でした。
 
内容はこんな感じです↓

1.建設業界の疲弊 →バブルの頃に比べて建設投資額は半分になった。平成23年度で約42兆円。  

2.立て直しの経緯 →以下のような対策をしてきた。
 ・社会保険未加入対策 →保険未加入企業の排除。「ケガと弁当手前持ち」の終了。
 ・建設投資額の回復 →令和2年度は約55兆円となる見通し。
 ・低入札価格調査基準の引き上げ →ダンピング防止。安すぎ入札の排除。近年、落札率上昇。
 ・技能労働者の賃金水準の引き上げ →アベノミクスのおかげ。ここ10年で20%上昇。
 ・担い手3法の改正 →目的はインフラ等の品質確保とその担い手確保の実現。
 ・働き方改革 →建設業にも令和6年(2024)4月から罰則付きの時間外労働規制の適用。
 ・施行時期の平準化 →建設業は「4・6が枯れる」4月から6月が閑散期になる。
 ・情報通信技術の活用等による生産性向上(i-construction、DX推進等)→目標は生産性2割向上
 ・新担い手3法(令和元年)→第二部で。
 ・建設キャリアアップシステム →技能者の能力が客観的に証明可能になる。

3.今後の課題
 ・建設業における新型コロナウィルス感染症対策 →受注者の責任にはしない。
 ・技能労働者の賃金水準の引き上げ →9年連続増加中。

4.持続可能な建設業界にするための戦略  →担い手確保が最大の課題。

第二部「改正建設業法の施行をはじめとした建設業をめぐる最近の状況について」                           

講師:国土交通省 土地建設産業局 企画専門官 藤井裕士様
講師は、制度を作っているクリエーター、頭脳明晰といった印象の方でした。

内容はこんな感じです↓

1.建設業を取り巻く現状と新・担い手3法 →令和元年(2019)6月から順次施行

2.建設業の働き方改革の促進
・工期の適正化(建設業法19条の5) →著しく短い工期の禁止。
・施行時期の平準化(入契法17条、品確法3条・7条) →人材や機材の効率的な活用のため。
・週休2日に向けた取組 →改正労基法による時間外労働規制が令和6年4月から建設業に適用。
・下請代金の現金支払い(建設業法24条の3、品確法3条・8条) →元請から現金で支払い。 
・施工体制台帳 →台帳への記載事項の追加。

3.建設現場の生産性向上
・監理技術者の専任要件の緩和等(建設業法26条) →技師補をおけば監理技術者が2現場を兼務できる。監理技術者講習の有効期間の変更。
・技術検定制度の見直し(建設業法27条) →技師補が新設。
・主任技術者の配置基準の見直し(建設業法26条の3) →一次下請の主任技術者のみでOK。
・建設資材製造業者等への勧告等(建設業法41条の2) →建築資材がダメだった。
・知識及び技術または技能の向上(建設業法25条の27) →多能工化の推進。

4.持続可能な事業環境の確保
・建設業許可基準の見直し(建設業法7条) →建設業法7条(経営能力)の要件。
・建設業者の地位の承継(17条) →事前の認可を受けることにより建設業許可の承継可能に。
・不利益な取り扱いの禁止(24条の5) →下請が元請の違反行為を行政庁に通報した場合。
・災害時の対応(27条の40) →災害時の協力は努力義務。 
・標識の掲示義務の緩和(40条) →現場の建設業許可証の掲示は元請だけでOK。
・電子契約の技術的基準(19条) →建設工事の請負契約を書面じゃなくて電子契約書で。

5.押印廃止 →令和3年1月1日、建設業許可申請時の押印廃止された。

6.経営事項審査の最近の動き →令和3年4月1日改正
・技術職員数(Z1)にかかる改正
・労働福祉の状況(W1)にかかる改正
・建設業の経理の状況(W5)にかかる改正
・知識及び技術又は技能の向上に関する建設工事に従事する者の取り組みの状況にかかる審査項目(W10)の新設

7.建設業許可、経営事項審査の申請手続きの電子化 →遅くとも令和4年度までに運用開始。 

以上です。

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