第17期 効果測定対策 成年後見制度(法定後見・任意後見)

行政書士の研修
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成年後見制度について

【成年後見制度が必要な理由は?】

認知症などにより判断能力が不十分な状態になると、①老人ホームへの入居契約、②不動産の売却、③預貯金の解約、④遺産分割協議などの契約を行うことができなくなるからです。

介護保険制度が普及するにつれ、老人ホームなどとの入居契約する機会が増えているが、ご本人が認知症では入居契約が困難になります。

契約の相手方である施設や不動産会社や銀行が、「後見人を立てていただかないと、当方との取引はできません」と言われるかもしれません。
あとで「認知症だったから契約は無効だ!」「そんな契約した覚えはない!」などと言われることを回避するためです。

また、民法が改正され改正民法3条の2で「意思能力の無い状態で行った行為は無効である」と明文化されました。
その影響により、不動産売買や銀行との取引で、意思能力の確認が厳格化される可能性が高いのです。
意思能力ありの証明書の提出を求められるかもしれません。

さらに、遺産分割する際、当事者の意思能力・行為能力に問題がある場合、成年後見人等の選任が必要です。
未成年者の場合は、特別代理人の選任が必要です。

そして、悪徳商法などの詐欺の被害を防ぐため、親族の財産使い込みを防ぐため、でもあります。

成年後見制度を利用すれば、後見人に、財産管理身上保護(施設の入退所に関わる契約など)をやってもらえます。

法定後見の多くは、認知症で判断能力が低下し、「介護サービスや施設の利用契約ができない」「財産の管理ができない」「不動産の売却ができない」といった現実に直面し、必要に迫られて、ご本人の親族が申し立てを行い法定後見制度を利用しているパターンが多いです。

【「成年後見」が「任意代理」や「家族間信託」とは違う点】

成年後見のみ公的機関の監督がつきます。

【成年後見登記制度とは?】法務省HP

成年後見登記制度は,成年後見人等の権限や任意後見契約の内容などを登記官がコンピュータ・システムを用いて登記し,また,登記官が登記事項を証明した登記事項証明書(登記事項の証明書・登記されていないことの証明書)を交付することによって登記情報を開示する制度です。

東京法務局の後見登録課で,全国の成年後見登記事務を取り扱っています。

なお,登記事務のうち,窓口での証明書交付は,東京法務局民事行政部後見登録課及び各法務局民事行政部戸籍課・地方法務局戸籍課でも取り扱っています。

後見開始の審判がされたときや,任意後見契約の公正証書が作成されたときなどに,家庭裁判所又は公証人からの嘱託によって登記されます。また,登記されている本人・成年後見人などは,登記後の住所変更などにより登記内容に変更が生じたときは「変更の登記」を,本人の死亡などにより法定後見又は任意後見が終了したときは「終了の登記」を,申請する必要があります。この「変更の登記」,「終了の登記」の申請は,本人の親族などの利害関係人も行うことができます。

登記の申請は,書留郵便で行うことができます。

法定後見制度について

法定成年後見制度には、高齢者をサポートする人が、成年後見人保佐人補助人と3種類あります。

ポイント1:「成年後見人や保佐人や補助人の同意権」と、「ご本人の同意」をしっかり区別する。
ポイント2:「ご本人」とは、支援を受ける高齢者などのことです。

【代理権】
成年後見人には代理権は無条件に認められる。
保佐人補助人に「特定の行為」の代理権を付与するには「家裁の審判」と「ご本人の同意」が必要。
ちなみに、任意後見では代理権の範囲は契約で決める。

【同意権】
成年後見人にだけ同意権が認められていません。
保佐人の同意権は、「強制法定同意権」です。ご本人の同意がなくても、「13条1項の9つの法定の行為」、及び「13条2項の家裁の審判での行為」について認められます。
補助人の同意権は、ご本人の同意があれば、「13条1項の9つの法定の行為の一部」についてだけ家裁の審判により認められます。
補助人の同意権の範囲や内容は、審判によって定められます。ただし、民法第13条第1項で定められている内容の範囲内に限定されます。

ちなみに、任意後見人の同意権は認められません。

【取消権】
成年後見人には、取消権は、ほとんど完全に認められています。
保佐人補助人の取消権は、同意権が及ぶ範囲で認められています。
保佐人補助人の同意を得ないでしたご本人の行為は、保佐人補助人は後で取り消すことができます。

ちなみに、任意後見人には取消権はありません。ご本人がした行為を取消すことができません。

【成年後見人に同意権が認められていないのはどうして?】

同意権とは、本人が契約しようとするときに同意を与えたり、同意を与えていない場合は、契約を取り消すことができる権利のことです。

成年後見人が成年被後見人(ご本人)の行為に同意を与えたとしても、ご本人が同意した通りに物事を行うかどうかがわからない、すなわち、同意を与えられたご本人が、同意したとおりに法律行為をする可能性は著しく低く、成年後見人に対しては「同意権」は不要であるとみなされているのです。

【家庭裁判所に成年後見の申立てできる四親等内の親族とは?】

・ご本人
・配偶者
・四親等内の親族等

主な四親等内の親族はこちら
・親 祖父母 曾祖父母 子 孫 ひ孫
・兄弟姉妹 おじ おば 甥姪 いとこ
・配偶者の親 祖父母 曾祖父母 子 孫 ひ孫
・配偶者の兄弟姉妹 おじ おば 甥姪 等

【保佐を受けたご本人は、保佐人の同意を得なければならない行為は一人でできないのか?】

一人でできます。ただし、保佐人の同意がないので取り消される可能性があります。
取り消されるまでは有効です。

任意後見制度について

【任意後見契約をすると登記される理由】

任意後見契約は、公証人の嘱託により、法務局で登記されることになります。本人や任意後見受任者が登記手続きする必要はないです。この登記をすれば、任意後見人は、法務局から、任意後見人の氏名や代理権の範囲を記載した「登記事項証明書」の交付を受けて、自己の代理権を証明することができますし、取引の相手方も、任意後見人から、その「登記事項証明書」を見せてもらうことにより、安心して本人との取引を行うことができることになるわけです(すなわち、登記事項証明書は、法務局が発行する信用性の高い委任状という役割を果たすことになり、これにより、任意後見人は、本人のために、その事務処理を円滑に行うことができます。)。

ちなみに、登記される事項は、下記のとおりです。

<任意後見監督人の選任前>
本人、任意後見受任者、代理権の範囲

<任意後見監督人の選任後>
本人、任意後見人、任意後見監督人、代理権の範囲
日本公証人連合会

【任意代理委任契約と任意後見契約の比較】

・共通点
どちらも財産管理や身上監護を他人(家族やその他の者)に任せる制度。
どちらも契約行為。委任は委任契約。任意後見は任意後見契約。
どちらも契約の段階では意思能力が必要。
どちらも既に意思能力が低下してしまっている場合は法定後見を検討することになる。

・相違点
契約書を公正証書で作成する必要性→任意後見ではマスト。
効力の発生時期→任意後見では監督人が選任された時に限定。
監督人の有無→任意後見ではマスト
裁判所の監督下におかれるかどうか→任意後見ではおかれる。任意代理ではおかれない。
本人の意思能力の低下により終了するか→任意後見はその時こそ効力発動。任意代理でも終了しないけど、本人の意思に沿った財産管理困難になるので任意後見に移行すべき。

【家族信託】
「家族信託」とは、簡単に言えば、財産の管理・運用・処分を「家族」に任せることをいいます。

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