第17期 効果測定対策(介護保険制度について)

行政書士の研修
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介護保険制度とは?

介護保険制度について(厚生労働省)
かつては、子どもや家族が行うものとされていた親の介護ですが、高齢化が進むにつれ、介護を必要とする高齢者の増加や核家族化の進行、介護による離職が社会問題となりました。こうした中、家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えることを目的に2000 年に創設されたものが介護保険制度です。介護保険法

介護保険は誰が対象か?

介護保険の加入者
第1号被保険者(65歳以上の方)
第2号被保険者(40歳から64歳までの方で医療保険の加入者)
保険料の支払い義務はどちらにもある。
サービスの対象者 (受給者) は、原則として第1号被保険者だけ第2号被保険者は老化に起因する疾病(16の特定疾病)により介護認定を受けた場合に限りサービスの対象となる。

第2号被保険者に対して介護保険で対象となる疾病(16の特定疾病)
末期がん、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、後縦靱帯骨化症、骨折を伴う骨粗鬆症、初老期における認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病、脊髄小脳変性症、脊柱管狭窄症、早老症、多系統萎縮症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患、変形性関節症(両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う)

どうやって保険料を払うか?

40歳になると介護保険に加入が義務付けられ、保険料を支払う。
40歳から64歳までの被保険者は加入している健康保険と一緒に徴収。
65歳以上の被保険者は、原則として年金からの天引きで市区町村が徴収

保険料の負担割合は?

介護保険は保険料税金で運営されている。
所得により、1割から3割の自己負担。
現役並に所得のある高齢者は、介護保険利用時の自己負担割合が3割になる。

介護保険が適用される施設とは?

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)(特養)(とくよう)←生活の場。要介護高齢者のための生活施設。医者は非常勤OK。

・介護老人保健施設(老健)(ろうけん)←自宅に戻ること目的。要介護高齢者が在宅復帰・在宅支援を目指す施設。常勤の医者必須。リハビリが充実。

・介護医療院←要介護者の長期療養と生活支援を目的とした施設。医療依存度の高い方のための施設。

・介護療養型医療施設←2023年に廃止

・特定施設←介護保険法で定める介護施設の中で、厚労省の定めた基準を満たして、都道府県や市町村から特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設。介護サービスに介護保険が適用される。特定施設入居者生活介護とは、特定施設に入居している要介護者を対象として行われる、日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話のことであり、介護保険の対象となる。特定施設の対象となる施設は① 有料老人ホーム ② 軽費老人ホーム(ケアハウス) ③ 養護老人ホーム④「サービス付き高齢者向け住宅」。
〇「サービス付き高齢者向け住宅」については、「有料老人ホーム」に該当するものは特定施設となる。
○ 特定施設入居者生活介護の指定を受ける特定施設を「介護付きホーム」という。
特定施設入居者生活介護

【有料老人ホーム】
老人福祉法第29条第1項に基づき、老人の福祉を図るため、その心身の健康保持及び生活の安定のために必要な措置として設けられている制度。老人を入居させ、以下の①~④のサービスのうち、いずれかのサービス(複数も可)を提供している施設。
① 食事の提供 ② 介護(入浴・排泄・食事)の提供③ 洗濯・掃除等の家事の供与 ④ 健康管理。

【住宅型有料老人ホーム】
有料老人ホームのうち、特定施設入居者生活介護の指定を受けていないもの。

【介護付き有料老人ホーム】
有料老人ホームのうち、特定施設入居者生活介護の指定を受けたもの。24時間介護スタッフが常駐し、掃除や洗濯など身の回りの世話や、食事、入浴、排せつなどの介助サービスが受けられ介護施設。主に民間企業が運営。一定の設備、人員、運営基準のもと都道府県の指定(認可)を受けている施設。高級な施設もあれば低価格が特徴の施設もあり、入居費用の設定はいろいろ。入居要件も施設により異なり、介護度が軽い方から重い方、寝たきりの方、認知症の症状がある方など幅広い。看取りまで対応しているところが多く、終のすみかの選択として探しておられる方が多い施設。

【軽費老人ホーム】
社会福祉法人や地方自治体などが運営する福祉施設のことです。自治体の助成を受けて有料老人ホームよりも比較的低い利用料でサービスを提供し、生活に対する不安のある自立あるいは要支援の高齢者を受け入れている。身寄りがない、家庭環境や経済状況などの理由により、自宅での生活が困難な高齢者が暮らす軽費老人ホーム。いくつかの種別があり、食事を提供する「A型」と、食事を提供しない「B型」があり、さらに「C型」と呼ばれるケアハウスがあります。軽費老人ホームの役割は、基本的に「生活」のサポートであり、常時介護が必要な状態になった場合、施設によっては特別養護老人ホームや介護付有料老人ホームなどに移らなければならないケースもあり。

【養護老人ホーム】
高齢者の「養護・自立支援」が最大の目的。に経済的に困窮している高齢者を受け入れる場所。地域密着型の特定施設。収入がない・身寄りがないなど、生活面で困難を抱えている高齢者をサポートし、高齢者の社会復帰を支援する。特別養護老人ホームなどの介護サービスを提供する施設とは異なる。介護サービスの提供は行わないため、利用できるのは身体的な介助を必要としない高齢者。社会復帰を促す施設。長期的に利用することはできない。

【サービス付き高齢者向け住宅】
高齢者住まい法第5条に基づき、状況把握サービスと生活相談サービスを提供する等、以下の基準を満たす高齢者向けの賃貸住宅等の登録住宅。床面積は原則25㎡以上、バリアフリー(廊下幅、段差解消、手すり設置)等。少なくとも、①安否確認サービス、②生活相談サービスのいずれかを提供。自立している人や、比較的介護度が軽い方用の高齢者向け住宅。

介護保険適用となる介護サービスとは?

【介護サービス】 
介護保険適用となる介護サービスは大きく分けて3つ。
・居宅サービス
・施設サービス
・地域密着型サービス

・居宅サービスとは
自身の居宅で暮らす利用者が受けられる介護サービス。居宅に訪問して入浴や医療を提供するサービスや、施設で日中にリハビリなどを提供するサービスも居宅サービスに含まれる。たとえば、訪問介護、訪問入浴介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、住宅改修費支給。

・施設サービスとは
下記の介護保険施設で提供される介護サービスのことをいいます。要介護認定を受けた人が利用できる公的施設。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)(特養)←生活の場。
介護老人保健施設(老健) ←リハビリの場。帰宅が前提。リハビリが充実。
介護医療院 ←医療の場。医療依存度の高い方のための施設。
介護療養型医療施設 ←今後廃止される。

・地域密着型サービスとは
高齢者が中重度の要介護状態となっても可能な限り住み慣れた地域で暮らしを継続できるように、地域主体で提供される介護サービスの総称。たとえば、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)。

〇居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスの違いは、運営主体と利用対象者。居宅サービスや施設サービスの指定・監督は都道府県、地域密着型サービスは市町村が主体。地域密着型サービスを利用できるのは原則、要介護認定を受けた高齢者で、かつ、サービス事業者が所在する市町村に住民票がある方。特定疾病で要介護認定を受けている40~64歳の方。

用語集

【ケアマネージャー】 ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護を必要とする方が介護保険サービスを受けられるように、ケアプラン(サービス計画書)の作成やサービス事業者との調整を行う介護保険のスペシャリスト。主な職場は、自宅介護を受ける人のための介護サービスを展開している居宅介護支援事業所、特別養護老人ホームなどの施設、自治体の介護相談の窓口となる地域包括支援センター、介護用具のレンタル事業を展開している民間企業。

【介護老人保健施設】 老健(ろうけん)のこと。質の高いリハビリが充実している。在宅復帰を目指す。病院退院して自宅に戻る前の人が利用する。原則65歳以上、要介護度1以上。費用も安い。ただし、高額の内服薬が使えないことあり。

【介護老人福祉施設】 特別養護老人ホームのこと。特養のこと。1963年にできた老人福祉法では特別養護老人ホームという言葉が使われ、2000年にできた介護保険法では、介護老人福祉施設という言葉が使われた。どちらも同じもの。

【介護医療院】 長期的な療養が必要な要介護者に対して医療ケアや介護サポート、生活支援を行う介護保険施設。

【介護医療院と介護老人福祉施設の違い】 介護医療院と特養、老健の違いは医療の必要度。介護医療院はどの施設よりも医療の必要性が高い方の施設。特養や老健に比べて医療機能が充実している。医療依存度の高い方のための施設。

【地域包括支援センター】 高齢者介護に関する「よろず相談所」。介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える「総合相談窓口」。高齢者が住み慣れた地域で生活できるように介護サービスや介護予防サービス、保健福祉サービス、日常生活支援などの相談に応じたりする。

【サ高住】 サービス付き高齢者向け住宅のこと。要介護度の低いご高齢者が入居できるバリアフリーの賃貸の住まい。サ高住では、「介護施設に入るほどではないが、一人暮らしが不安な方」を対象としているため、基本的に身体介助などはない。サ高住の特徴として、介護付有料老人ホームのような介護設備が少ないという点。高齢者向けのバリアフリー設計を基本とするマンションであり、居住スペースの広さは25平方メートル以上という基準あり。サ高住には、介護のいらない高齢者が入居するのが一般的。見守りや相談対応のスタッフは常駐している。「まだまだ元気だけど、高齢なので自宅で暮らすことに不安を感じる」という方にぴったり。サ高住の事業者に義務付けられているのは、定期的な「安否確認」と「生活相談」の2つ。安否確認では、常駐するスタッフが住宅を巡回する見守りサービスをして安否の確認を実施。生活相談では入居者さんが生活していく上でのさまざまな悩みや問題の相談に乗り、必要であれば自立した生活が営めるように支援を行う。
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